Stand Alone Complex

チーム運営論:「スタンドアローンコンプレックス」を実践する難しさと面白さ

前回に引き続き、AIにインタビュアーをやってもらいながらblog記事にまとめてみるテスト。 今回は IE3として1年目を終えて2年目に入ったこのタイミングで、主に自分がどんなチーム運営を目指しているのか、そしてその理想と現実について書いてみます。

「スタンドアローンコンプレックス」との出会い

IE3のチーム運営で大切にしている概念に「スタンドアローンコンプレックス」があります。
てかこれは別にチームに共有してないので自分が考えるチームの理想って話。

前回のblogでもちょろっと書いたんですが、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』に登場する造語で、
個々の独立した人々が、あたかも一つの集合体のように行動する現象を指します。

  • スタンドアローン: 独立した個人、つまりバラバラの存在
  • コンプレックス: 複合体、集団、全体としてまとまった行動をとる状態

これ実は参加当初の10年以上前のライゾマで時々聞いていた言葉で、攻殻機動隊は勿論知っていたし好きだったので良いコンセプトだなーと思っていました。

組織の限界:15人という境界線

ここ異論反論沢山あると思いますが。
大きな組織になると理想的なチーム運営が難しくなると思っていて、ぶっちゃけ15人くらいがやっぱり限界なんじゃないかなーって色々見てきて思います。それを超えると、個々の独立性と全体の統合のバランスが崩れてしまう。スタンドアローンコンプレックスを維持するには、お互いの顔が見える規模でないと機能しないなーと。勿論 IE3も理想の形には全く程遠いと思います。が、3人という小さなスケールになったからこそ、もう一度この理想を目指したいなーと思った次第。

IE3の現実:専門性の棲み分けと自然な役割分担

3人の領域と協業スタイル

IE3では、3人の専門性に関してはあくまでも当人の領域にはそこまで口出ししないってスタイル。

例えば宮本くんであれば、ストラテジックのプランニングから提案、UI/UX設計、デザイン、上流の部分であれば丸っと宮本くんにお任せ。領域がWeb系ならテクニカルは丸っと小岩原くんで、テクニカルディレクションからフロント実装まで一番経験あるし、通常Web設計なら小岩原くんがディレクターって感じ。僕は基本Visual周り、例えばGLとかshader系、映像系とか。例えばメインビジュアル部分や映像として必要があれば僕が作るって感じ。あとはインスタレーションやメディアアートなどのWeb領域以外でのシステム構築とかは僕が全部1人でやることが多いかな?

案件の自然な流れ

3人の領域が全然被っていないので、自然にお願いされる案件がやっぱりその人の得意分野に紐付く案件である事が多く、その人がそのまま窓口として立って主導で引っ張っていくことになることが多いかな? 丁度中間みたいな案件はあまりないんだけど、あるとしても商流がどこからの発生かでなんとなく自然に誰主導のプロジェクトになるかが決まる感じ。

スタンドアローンコンプレックスの理想と現実のギャップ

見えにくいコミット度

これ、お互いが独立しているからこそ逆に相手の本音や将来の意向、全体方向の意思決定が見えにくくなる部分もあるなーと思っていて。これって、スタンドアローンコンプレックスの理想と現実のギャップでもありそう。(これはAIに指摘されてIE3だけというよりはこれまでの10年くらいを思い出してみてめっちゃ腑に落ちた部分)

定期的な対話の必要性

でも、せっかくの少数制に戻ったんだからちゃんと深い話もしていこうと思ってます。最低年に2回くらい経営会議と称してチームで話す機会は設けているので、そいう場でざっくばらんに聞ける関係値は継続していきたいな。

unframe時代からの関係性

コロナ前まで unframe っていう同年代の制作者で集まったグループ展を毎年1回、7年くらいやってたんですが、この3人はその中のメンバーで、さらにそこから「魔法の美術館」という全国を回る企画展に出展していた3人でもあり。その時も僕は僕で作品を作るし、宮本くんと小岩原くんは2人で作品を作るみたいな感じでやってました。なのでunframe外での活動が自然と多かったのがこの3人。その時から既に「それぞれが独立して作品を作りつつ、全体として一つの展示に参加している」という、まさにスタンドアローンコンプレックスを実践していたわけですね。(AIぽい言い回し)

「グルーブ」という判断基準

言語化しづらい相性

案件選択においても、案件内容も重要ですが人間関係や新しい協業の可能性を重視することも多いです。「この人となら」という感覚値は、この3人もそうやって、まーこいつならって感じでチームを組んでる所もあると思うし、多少のズレはあったとしても3人で同じ方向は見れているのかなーと思います。

「この人となら」という判断は言語化しづらいですね。。よく冗談でグルーブとかって言ったりするけど、結局は1案件やってみるしか分からないかなって思います。まずは1度デートしてみる的な。笑

全員やりたくないみたいな案件はまだ経験したことないんだけど、基本仲の良い人からの相談なので案件自体に興味はなくてもそのチームと新しい働き方が試せるならそっちに興味があるので受けてしまうってのが実情のところかな?あと人によってこの辺りの受ける受けないの判断基準もバラバラなのでその辺りも独立性を保ったままでいいかなと。StandAloneComplex!

「自由」の再定義:裁量権としての自由

制作における本当の自由とは

チーム内で協業する場合はほんと相手領域はお任せ。もちろん必要ならコミュニケーション取るけど、制作なんて自由にやれた方がストレスないよねって考えです。(あくまで僕は)

でも、この「自由」という部分が世の中的に悪く解釈されてる事が多いなーと思う今日この頃。

制作者にとっての自由って裁量権の話だと思っていて。要するに外部要因(予算、期間、社内政治etc)とかは勿論あるんだけど、それらを踏まえて自分の担当領域を自分が納得できるクオリティでどう着地させるか?というのが制作者にとっての自由かなと思っています。

「好き勝手にやる自由」ではなく、「制約の中で自分の担当領域を自分なりに最高のクオリティで仕上げる裁量権」ということなのかなーと。(この辺りAIに言語化してもらえるの助かる)

クライアントワークでの実践

クライアントワークでは納期やクライアントの要望、予算の制限など、自由にやれない制約も多いです。でも、そういう外部からの制約がある中でも、チーム内では「相手領域はお任せ」をそのまま実践。最終的にクライアントに対して責任を負うのは案件を引っ張った人になりますが、そこでの品質管理や進捗管理も含めて、その人の裁量権の範囲内だよねと。ドライ〜

クオリティ基準の違いを受け入れる

統一は不可能

この辺りもAIからの質問で鋭い所突いてくるよな〜となったんですが、このやり方ってクオリティ基準は揃っていないすね。てかそこを揃えるのは不可能だと思う派。これまで見てきた、経験してきた、そもそもの人生が違うから。なのであくまでそのクオリティジャッジは制作担当本人がするべきで、他人やチームメンバーがすべきでないと思ってます。そこの他人のズレが許せない人はチーム制作できないよねと思う。それで次の仕事がなくなったとしてもそれは自己責任って世界かな。この辺りは話してないし共有してないので完全に僕ひとりの感覚です。

グルーブの本質

でも、自然にそこのクオリティを妥協しないって最低限のジャッジがグルーブって言ってた部分に含まれてるんじゃないかなーと思います。3人とも根本的に「いい仕事をしたい」という価値観が共通しているから、任せても安心できる。各人の経験や価値観が違うのに無理に基準を統一しようとすると、逆に個々の専門性や独創性を殺してしまう。

新しいメンバーを迎える時の基準としても、技術力や実績だけじゃなく、この「ズレを許容できるかどうか」、そして「クオリティを妥協しない姿勢」も「グルーブ」の一部として重要な判断要素になるのかなと思います。

今後の課題と展望

Lab環境での深い対話

Lab環境ができて物理的に同じ空間にいる時間が増えました。これによって、今まで取れなかった深い話をする機会も生まれてくると思います。
スタンドアローンコンプレックスを実践するには、定期的にちゃんと話し合う場が必要。
個々が独立しているからこそ、全体としての方向性を確認する機会も大切になってきます。

理想の追求と現実の受け入れ

IE3はまだ全く理想の形には程遠いと思います。でも、3人という小さなスケールで、10年前にライゾマで見て感じたあの頃の理想的なチーム運営を自分たちでもう一度1から作って実践してみたいなーと思ってます。

個々の独立性を保ちながら、全体として新しい価値を生み出していく。そんな「スタンドアローンコンプレックス」なチームとして、IE3はこれからも進化し続けていきたいと思います。

まとめ

スタンドアローンコンプレックスの実践は、決して簡単ではありません。
理想と現実のギャップもあるし、お互いの本音が見えにくい部分もある。

でも、それぞれの専門性と独立性を尊重しながら、共通の価値観である「いい仕事をしたい」という思いで繋がるチーム。
クオリティ基準の違いを受け入れながら、各人に裁量権を委ねることで生まれる自由な制作環境。
これが、今のIE3が目指している「スタンドアローンコンプレックス」の言語化なのかなーと思います。

まだまだ試行錯誤の段階ですが、同じようなクリエイティブチームを運営している人や、これから独立を考えている人にとって、何か参考になる部分があれば嬉しいです。

と、なんか大分一人語りみたいな感じで寒くなったんですが、考えてる事を割とちゃんと言語化して残しておくってのが個人blogを続ける理由でもあるので、これはこれで10年後にこんな事を考えてたんだなって思い出せるようにチラ裏として残しておきます。(にしてもAIはなんか壮大な話にしたがるなぁ。)

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