今回、大阪のArts&Craftsの西川君から大阪の北加賀屋での APartMENT 8ARTISTS PROJECT というプロジェクトに会社名義で参加させてもらっています。
実際のR不動産募集ページ。感慨深い。。
今回僕たちの作った部屋のコンセプトが、
「記憶の記録」
エビングハウスの忘却曲線によれば人の記憶は1時間で56%、1日で74%、1週間で77%、1カ月で79%を忘れてしまうとされる。
更に約4TBと言われる人間の記憶量において普段の何気ない会話や行動、感情など、生活で得られる体験の全てをヒトが記憶することは難しい。
しかし、居住空間における普段の何気ない時間は居住者にとって本当に情報価値はないのだろうか?
居住空間自体が人間の外部記憶として、ヒトの記憶できる容量を超えて記憶補完することができれば、
そこにはまた違った居住空間の在り方や必要性が見えてくるのではないかというスタディ。
実際に行うことはとてもシンプルで、
家族の集まる食卓やリビングなどの特定箇所にて自動で映像が撮影され、
備え付けのPCからはローカルサーバーに溜まっていく記憶=記録に専用のアプリケーションからいつでもアクセスすることができる。
また、記憶に対するタグ付けが可能で、いつでも日付やタグからの検索、つまり記憶の抽出が可能になる。
2年、4年、6年と住んだ後、記録媒体だけを持って転出をすればその空間で過ごした記憶は完全に保存できる、というもの。
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もっと分かりやすいプロジェクトサイトはこちら。
ちゃんとしたまとめはまた後日worksにて追加したいと思います。
ちなみに割とハートフルな企画だなぁと思って提案したんだけど、
思いの外みんなからは異常だとか怖いとかの意見があった。そかなぁ。。?w
ちゃんと理解してもらえれば割と普通な事だと思うのだけどやっぱり説明力不足の自分は悔しいなぁ。。
まーでも個人的には、記録されることで個人情報などへの人それぞれの抵抗値みたいな
可視化し辛いものへの興味とかが元からあって、そういったいわゆるタブーとされる題材みたいなものを
もうちょっと深堀してみたいなぁと思っていたのでこいう機会を恵んでもらえたのはとてもラッキーだった。
んで、どんな事を考えてこのテーマにしたのかとかをちょっと個人的にまとめとく。
(なんかオープニングでのトークショーなるものがあるらしいのだけど全く上手く喋れないし伝わらないだろうなと思い、、w)
まずそもそもの話として、
建築業界での1棟リノベーションとかの話はもう既によくあるし、既存の建築関係者だけで
そういったものをやっても新たな斬新なアイデア等は生まれにくいんじゃないか、
そこで普段建築だけに従事しないアーティストを呼んで1部屋毎に自由なアイデアで部屋を作ってもらいたい、
みたいな企画依頼だったかな。(違ってたらごめんw)
で、今回のコアアイデアが「記憶の記録」。
これ、実は純ちゃん含めた大学時代の友人達の間でずっとネタ的に話してた内容が元ネタで、
勿論思い出も大事だけど、何かしら旅行やら飲み会やら、そんなに非日常でないものでも
映像でもなんでも記録として残そうぜ!記憶より記録やろ!みたいなクソつまんない駄洒落を言ってた網干の堤下こと、
まこちゃんの発言がなんとなく記憶に残ってた。みんなが覚えているかどうかは知らんけど。w
(ちなみに若かりし大学時代の恐ろしく悲惨な飲み会映像などもちゃんと記録されていて全員一致で墓まで持って行こうという結論を得た)
で、賃貸の話としては、前々から引越し時の原状回復義務とか、
結局賃借物なので(持ち家でない)という理由で好きにカスタマイズすることもできず、
家自体への愛着みたいなもんが持ち辛いなぁという思いがあり、
ただ一方で、それとその居住空間自体で過ごす時間や思い出といった情緒的な部分は
居住空間への愛着においてまた別の話だよなぁとも思っていた。
その時その場所で過ごした何気ない些細な会話や行動などの記憶は、
再び思い起こされることがなければ長期記憶としては定着せず、
短期記憶として引き出せなくなる。= 思い出せなくなる。
つまり記憶がなくなるわけではなく引き出せなくなるということらしい。
そしてその引き出せなくなった記憶に本当に価値はないのか?というのが今回のアイデア。
自分は奥さんや子どもがいないのであまり分かんないけども、
家で過ごす何気ない家族との日常が、全てデータ管理され記録され、自由に取り出すことができれば、
つまり家自体が住む人々の外部記憶装置として機能すれば、居住空間においてそこが賃貸であろうと
物質的な価値ではなく、その時その場所での経験の記憶、というような
本質的な居住空間への愛着につながるのではないか?と考え、
今回のプロジェクトを賃貸における居住空間のスタディとして行ってみたくなった。
今はもう家電やデバイスなどにより人の行動データが蓄積、解析され、
機能としてリターンされることは珍しくなくなったものの、
既存テクノロジーの活用によりもう少し情緒的な面において
居住空間自体のアップデートが行われてもいいんじゃないかなーと思った次第。
とまあ、以上長文駄文で自分向け整理でした。
今回のプロジェクト自体は入居者が決まれば、一定期間毎に何かしらのコミュニケーションを取りつつ
最終的な結果をサイトなどで公開していきたいなと思っているのですが、
チームのみなさま、ひとまず無事オープン、お疲れ様でした!!!引き続き宜しくお願いします!!!
Credit
Planning / Producer : Keisuke Arikuni
Planning / Programmer : You Tanaka
Architectural Design : Takahito Hosono
Designer : Kaori Fujii, Tatsuya Ishii
Server Programmer : Hirofumi Tsukamoto
そういえば今回、大学時代からの友人である西川くん(純ちゃん)から
お話をもらったことがきっかけでこのプロジェクトに参加させてもらったのだけれど、
その純ちゃんとは大学時代からの数少ない親友のうちの一人で、
当時は姫路城の裏辺りの大学周辺でみんな家族みたいな感じでずっと一緒に過ごしてて、
なんかそんなみんなとは将来何か仕事として一緒にできたらいいねーなんて
明確なビジョンもなく夜な夜な誰がの家で話してたんだけど、
(ちなみに僕は2年生への進級タイミングで建築コースに落ちたので1年しか建築関係は勉強できてない)
まさかこんなに早く実現することになるとは思ってもいなくて、お話頂いた時は、純ちゃんありがとう!!!!という感じでした。
ちなみにラボに純ちゃんが来て打合せする感じはとても不思議で何故か面白かった。
いい機会を頂けてありがとう!!
J!!!
また東京来たら家で飲もう〜
you