IE3 1年目の自由開発シリーズ(2/2)- ラボスペース制作あれこれ
前回の記事では、IE3の創業融資申請について詳しく書きました。
今回は、その融資も活用しながら進めた「ラボスペース制作」について詳しく書いていきます。
Lab制作という新たな挑戦
自由開発期間の4-7月を使って、僕は今年はLab制作を進めてみました。そもそも建築学生スタートなところもあり、場所を作る事には興味があるのでこれも自分にとって「やったことない制作の一環」として捉えています。
なぜ場所を作るか?
これまで3人共リモートで案件制作してたんですが、自分達で作りたいものを作ろうとした時にリアル空間との繋ぎ込みが必要で、そうすると自然とその開発の場所がいるよね、となりました。
他にも3人で話し合って出てきた理由:
- あんまりコラボレートらしい仕事ができてないよね
- 単純に他が今どんな事やってるのか物理的に見えないので分からない
- ちょっとしたアイデアや雑談がチャットベースでしかない
- 友達を誘ってチーム紹介する時に場所があった方が都合が良い
あとは単純に自分が場所を作ってみたかったから。いつかは場所を作りたいねという話はしていて、初めから思い通りの場所作りができないのは自宅制作という経験で知っていたので、何回も作っていくなら1個目の場所としてはサッサと試してしまった方がいいでしょ。くらいの軽い気持ちでスタートです。
チーム内での合意形成プロセス
ここで実はバッチリ温度感の違いがありました。笑 そこでチームで話し合ったりしました。(めっちゃ説得用資料作ったりした)
固定費リスクへの向き合い方
3人それぞれで固定費に対するリスク許容量が違うんですよねー。(当たり前)
具体的には:
- 僕の1年間の収支を元に「これくらいの家賃負担であればそこまでリスクにならないよ」という説明
- 一定期間での成果が出なかった場合の撤退基準の設定
- 「チームの営業活動に繋がる投資」という位置付けでの説得
この辺りのチーム内への説得資料もAIとの壁打ちをしながら作成してました。
最終的には納得してもらたのでLab構築にGOできた形です。
物件選択:理想から現実的な判断へ
当初の理想:大きなガレージ
当初は大きいガレージみたいな倉庫を借りて業務スペースや実験スペースを併設で用意したかったんです。てか将来的にはそういう場所を作りたいという思いは今も引き続きあります。
現実的な選択:SOHO物件
ただ1年目だし費用をかけ過ぎる懸念がチームから上がって、現実的な判断をしました:
- 初期費用の圧縮: 初回からガレージに使えそうな倉庫を借りて初期改装費を使うより、そのまま使い始められるSOHO物件の方が費用を抑えられる
- ランニングコストの削減: 広さも狭い分家賃が安い
- 立地の重視: SOHOなどだと渋谷など都心部に近いエリアで、人を呼んだり営業活動に繋がることを重要視する形に
という訳で話し合った末に1軒目だし、まずは小さく始めてみよーぜ方針に転換しました。
Lab環境とコンセプト
オーガニックな営業スタイル
そこまでクライアントを頻繁に呼ぶようなスタイルではなく、あくまで知り合いベースが遊びに来てその流れでまた仕事になればいいなくらいの緩い営業スタイル。なのでmtgスペースも最小限で、各自の執務スペースを広く取った設計にしています。てかこれまでが自宅での作業スペースのみだったので機材量とかがもう限界を迎えてた、テストするスペースもなかったので十分ありがたい。笑
導入した機材・設備
購入したり元々持ってたりと共有機材として以下のようなものが集まりました。
デジタル系 : ディスプレイ、プロジェクタ、3Dプリンタ、ロボットアーム、PC沢山、ゲーム沢山
アナログ系 : 投光器、電ドリ、丸ノコ、ピット等の工具類色々
特殊系 : 改造用キックボードx2、FRAMEDx2 etc…
今後はCNC切削機、レーザーやサイネージ用のディスプレイなども購入したいなーと。
実際の立ち上げプロセス
リアルなタイムライン
4月終わりくらいから物件探し始めて、6月上旬くらいに契約、6月下旬くらいに入居して、そこから机や棚を自作したりして、ちょうど1ヶ月経ってようやく実務が始められるようになった段階です。
Lab作りの現実的なタイムラインとして、物件確保から実際の運用開始まで約1.5ヶ月は見ておいた方がいいですね。
DIYでの環境整備
ただ物件を借りただけでは使えないので、実際の作業環境を整えるために
- 机や棚の自作
- 機材の配置・配線
- 作業スペースのレイアウト調整
- 工具類の整理・収納
この辺りも全部自分たちでやったので、結構時間かかった。笑
運営開始後の変化
まだ目に見えた営業成果はありませんが、以下のような変化は感じています:
- 何気ない雑談の増加: チャットベースだけでない自然なコミュニケーション
- 状況の可視化: チーム内の他のメンバーがどういった状況なのかが見えるように
- 機材共有の効果: 物理的な機材や作業スペースをシェアして制作を進められる
なぜ場所をつくるか?で出ていた理由の改善が見られるだけでもまずは良かったかなーと。
IE3としてはこの1年はリモートワークでやっていたので、これらの変化は2年目からの大きなアップデートだと思っています。(そもそも僕は5年リモートワークやっていて飽きたので。笑)
知り合いネットワークの活用開始
知り合いについても、徐々に友人知人が遊びに来てる段階です。この「知り合いが遊びに来て自然に仕事に繋がる」というオーガニックな営業効果については、もう少し時間が経ってから実際の成果を報告できればと思います。
2期目の展望:作品制作の本格始動
Lab環境が整ったことで、いよいよ本格的な作品制作に取り組んでいます。
現在進行中のプロジェクト
ロボットアームにカメラを取り付けてARとAIを使った作品を制作中。これまでは前職でロボットアームを使った作品に関わることがあっても、ビジュアルを作る側のソフトウェア担当だったので、ハードウェアの制御などロボットアームをちゃんと自分で使った実感があまりありませんでした。今後はそこを含めてちゃんと自分で使って作品を作りたいなーという思いがあります。
また、案件としてもインスタレーションとしてロボットアーム+カメラ+フィジカルな作品制作が進んでます。
前職ではソフトとハードが分かれたチーム構成だったので触る機会がなかったものも、今はスーパー人手は足りていないので「使う側」として自分でコントロールして作品を作りたいという思いが強くあります。どこまでハード領域に踏み込めるかは分からんですが、まーやれる人もいない状況を望んだのは自分なので、日々勉強で色々触っていきたいです。
IE3のチーム哲学:スタンドアローンコンプレックス
『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』に登場する造語で、個々の独立した人々が、あたかも一つの集合体のように行動する現象を指します。
- スタンドアローン: 独立した個人、つまりバラバラの存在
- コンプレックス: 複合体、集団、全体としてまとまった行動をとる状態
これ実は参加当初の10年以上前のライゾマで時々聞いていた言葉で、攻殻機動隊は勿論知っていたし好きだったので良いコンセプトだなーと思っていました。
実際のチーム運営への適用
具体的には、
- 3人セットで動く必要はない: 各人が個別の案件をやっていることも多々あります
- 誰かがやりたいと思えばやるべき分野: 3人のうちの誰かがやりたいと思えばそれはIE3にとってはやるべき、挑戦すべき分野 というか好きにやればいい
- 独立性の重視: 3人は独立していていいと思っています
極端に言えば、自分たちがやるべき分野かっていうのは「各人自分がやりたい分野かどうか」で。
それくらい3人は独立していたらいいかなと思います。この辺りは次のblogでまたまとめてみます〜。
事業戦略の変化:将来への展望
収益目標と現実的な成長
一応具体的な数字の目標設定とかも作ってあるんですが、ぶっちゃけあんまり重要視していません。死ななきゃいい。なのでここは割愛。それよりも案件選択の基準としては以下のような事を重視してる気がします。
- 自分(たち)がやりたい仕事か
- 自分(たち)が成長できるか
- 自分(たち)がやるべき分野か
- 自分(たち)が一緒に作りたい相手か
もちろんお金のためにやる案件もあるけど、それでも上記のどれかが入ってないと、お金の為だけにやる事はないのかなーと思います。この辺りの案件選択も個々人の自由だからあくまで僕の理解だけど。
サイネージ事業の独立計画
既に商業施設や交通機関への導入実績があるデジタルサイネージ事業について、以下のような戦略を考えています:
- このまま引き続き複数の大型案件に使用
- クライアント毎の課題を聞いて基本機能のブラッシュアップ
- ある程度どのような場所やクライアントにでも対応できるくらいまで形が見えてきたら、サイネージ部分だけを事業会社として独立分離
- 最終的にはバイアウトまで持っていけたらいいな(5-10年スパン)
サイネージ事業が独立すれば、IE3自体はもっと趣味性の高い、言い換えれば利益率の低い、興味主体のプロジェクトや作品作りに没頭していくんじゃないかなーと。ガレージ作りなどもまさにそっちの方向で、「利益を追求しなくてよい」というのが究極の目標になってくるんじゃないかなと思います。
ただこんな事を書いてるけどぶっちゃけ5年10年で世界は変わるし自分も考えが変わるので、あくまでもざっくり長期スパンで考えてるーって程度です。
Lab制作から学んだこと
実際的な学び
- チーム内合意形成の重要性: リスク許容量の違いを事前に把握し、データに基づいた説得を行う
- 段階的なアプローチ: 理想を追わず、1軒目は現実的な選択をして経験を積む
- DIY期間の見積もり: 物件確保から実運用まで1ヶ月程度は必要
- オーガニックな営業: 自然な形での人の繋がりが最も効果的
- 機材共有の効果: 物理的な環境があることでのコラボレーション向上
IE3らしい学び
- 「Make it First.」の実践: 理想を語るより、まず小さく実現する(コンセプトどおり)
- Lab制作も制作の一環: 物理的な空間を作ることもクリエイティブワーク(てか建築出身だしな)
- コンフォートゾーンからの脱却: 挑戦的な制作環境を意図的に作る(ずっと同じワークフロー飽きる)
- スタンドアローンコンプレックスの実践: 独立した個人が集合体として機能する(攻殻いいよね)
今後の展望
短期的な目標
- ロボットアーム系作品の完成
- 他にもLab環境での本格的な作品制作開始
- 知り合いネットワークを活用したオーガニックな営業の実践
中長期的なビジョン
- サイネージ事業の独立とバイアウト(5-10年スパン)(これは眉唾物くらいで。笑)
- より大きなガレージスペースの確保 (2個目 or 3個目くらいで面白いの作るぞ〜)
- 利益追求から解放された純粋な作品制作への集中(これは別に拘ってない。方法論が他にもあるはずで知らないだけだと思う)
まとめ(AIが書いた)
Lab制作は単なる「場所作り」ではなく、IE3というチームの次のステージへの重要な投資だったと感じています。融資を活用したキャッシュフロー改善と合わせて、2期目はより挑戦的で自由な制作に取り組める環境が整いました。
個々のメンバーが独立性を保ちながら、全体として新しい価値を生み出していく。そんな「スタンドアローンコンプレックス」なチームとして、IE3はこれからも進化し続けていきます。
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と、1年目が終わり2年目の始まりの節目と、あとは初めての場所作りの備忘録として AIにインタビュアーになってもらってざっくばらんに答えたものを生々しい部分とか攻撃的な部分は清書で削って、2回に分けてblog記事にしてみました。
今後も気が向いたらAIと壁打ちした内容をblogにちょこちょこ書いていけたらいいなーと思います。 (AI使っても結局清書してたりすると全然楽に書けへんやんけ、という学び)
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